DESIGN FOCUS

青島設計が大切に
していること
#構造設計室からのFOCUS

ホームランを見送るスタンドの庇

安城市ソフトボール場A球場メインスタンド庇

OUTLINE

2026アジア・アジアパラ大会のソフトボール会場として使用されることに伴い、既存球場の機能向上を図る整備事業です。DENSO BRIGHT PEGASUSのホームグラウンドとして利用されてきた本球場は、もともと高い競技環境を備えていましたが、国際大会基準に応じた観客席の増設や快適性の向上が求められました。特にメインスタンドの庇は、日射や雨天から観客を守るとともに、スタジアムの象徴性を高める新たな屋根として再整備しています。大会後も地域スポーツの拠点として活用されることを目指しています。

MISSION

湧き出す課題に対するチャレンジ

既存スタンドを覆う庇の計画では、数多くの課題に直面しました。球場は総合公園内に位置しており、周囲には園路やランニングコースが張り巡らされ、埋設配管も多数存在していました。そのため、庇を支える柱や基礎はこれらを回避しつつ、グラウンドやスタンドへのアプローチ動線も確保する必要がありました。さらに、1/4円弧状のメインスタンドから両翼15mを覆う大スパンの庇構築、構造フレームをそのままデザインとして成立させる必然性、既存スタンドや周辺環境との調和と象徴性の両立など、多様な課題を乗り越えることが求められました。

SOLUTION

既成概念からの脱却 34.5mのメガトラスで支持

「既成概念からの脱却 34.5mのメガトラスで支持する。」
競技場の庇の多くは観客席と一体化した片持ちフレームを採用しますが、既にスタンドが完成しているため観客席一体は不可能でした。独立した片持ちフレームも園路への影響があることから採用できないため、メインスタンドを横断する34.5mのメガトラスフレームを考案しました。両翼15mのサイドスタンド部分はメガトラスフレームを基端とした片持ちトラス梁とすることで、広範囲のスタンドを覆うことが可能となりました。

メガトラスと片持ちトラス梁は45°で交差するものとして、幾何学的なデザインを表現し、構造的にも合理性の高い計画としました。

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SOLUTION

針の穴を通す杭基礎

総重量40tの庇を支持するためには相当の基礎が必要となりますが、園路下に多数埋設された配管は公園内の各施設にインフラを供給しているため、移設・迂回不可であることから、埋設配管を避けた基礎構造が必要でした。それはまさに針の穴を通すようなものでした。地盤状況と総重量から杭基礎が必然でしたが、一般的な杭基礎では大きなフーチングが必要となるため埋設配管との干渉は避けられません。

この課題を解決するため、柱と杭を直結することを考えました。鉄骨の柱と直結するため鋼管杭とし、柱脚ベースプレートと杭トッププレートを高力ボルトで接合する工法(GEX-TP工法)を採用しました。

SOLUTION

細部のディテールへのこだわり

トラス構造の設計で最も難しいのは各部材が取り合う接合部です。力学的に重要でありながら、建物全体の印象も決定づけるまさに”要”となる部分です。三角形であるトラスの形状が際立つよう、部材の切断面を極端な鋭角とすることで、鉄骨のラインが通るようなディテールを実現しました。言われなければ気付かない些細な部分ですが、これによりシャープな印象を際立出せることに成功しました。

 VOICE

設計者の想い

本件は構造フレームがそのまま建物のデザインになることから、当初より「美しく、格好よく!」を念頭に進めました。意匠設計者も発注者も手が出せない領域でしたのでプレッシャーを感じていましたが、とにかくシャープで華奢でシュッとしたものにしたい、そのために何をどうしたら実現できるかを計画から設計、竣工に至るまで一貫して考えていました。
だからといって悩みながら進めたかというとそうでもなかったように思います。多くの課題も一つ一つクリアしていったわけではなく、すべての課題を同時にインプットして一気に解決した、ある意味一瞬のインスピレーションでまとめた感じでした。
普段、構造フレームは隠されることが多いなか、建物イメージを構造フレームで表現する機会を得られたことは幸せに思います。本件にかかわったすべての方にこの場を借りてお礼申し上げます。
”構造設計者のこだわりとわがままを受け止めていただきありがとうございました”

追記:竣工後現地を訪れた際に、散歩途中のお父さんが息子に「かっこいいね~」と話しかけていたのを見かけました。設計者冥利につきます。

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