OUTLINE
全国でも有数の大型車ディーラーの既存支店老朽化に伴う新支店の移転建設計画であり、約16,500㎡の敷地に支店としての事務機能、大型車の整備場、部品倉庫を併設した施設として建設されました。また、多数の大型整備車両置場と普通自動車駐車場を敷地内に設けると共に新しい全天候型の整備空間『ワーキングドーム』を備えた最先端の自動車整備場となります。
MISSION
限られた敷地を有効活用し効率的な整備オペレーションを実現する最先端の整備場をつくる
自動車整備場として最優先される事項は、安全で効率的な整備オペレーションを実行可能な配置・建築計画を行うことです。
本敷地は不整形かつ要求レーン数に対してゆとりある広さではなく、限られた敷地を有効活用することが求められました。
また、従来の整備レーンのみでなく、雨天時においても効率的な整備を可能にする新しい整備空間の提案が求められました。
SOLUTION
敷地を有効活用した安全で効率的な整備環境の実現
全22レーンを確保するため、中央に車路を設けた分棟型の整備場を敷地中央に設け、顔となる支店事務所を道路に向けて配置する不整形な敷地形状を活かした土地利用計画を行いました。
場内を一方通行とする安全な車両動線、整備時間を短縮するスルーレーンの採用、屋上駐車場とブリッジを用いた職員、大型車、乗用車の動線の明快な分離等、敷地全体を有効活用しながら安全で効率的な整備環境を実現しています。
SOLUTION
全天候型の明るく軽快なワーキングドームをつくる
雨天時においても効率的な整備ができる新しい整備空間として、2棟の整備場間にドーム形状の大屋根『ワーキングドーム』を設ける提案をしました。
大屋根は平面グリッドのフレームをアーチ状にかけることで部材断面を押さえた軽快な構造とし、光を透過する膜屋根を用いて明るい全天候型の整備作業空間を作り出しています。
SOLUTION
複雑な建物構成を活かしたリズミカルなデザインの整備場
本建物は様々な要素が混在する建物であり、新しい支店としての統一感のある外観デザインと働く人が安らげる内観デザインが求められました。
外観はスタイリッシュなダークグレーを基調にホワイトと企業カラーのレッドにより全体デザインコードの採用に加え、ドーム、ブリッジ、大庇やエントランスゲートなどの要素をアクセントとして活用することで、統一感と変化を持った企業として主張できるデザインとしています。
内装は木調の仕上げと暖色を主体とした温かく温もりあるデザインを採用しています。
VOICE
クライアントと熱意を共有し新しい空間を創る
本計画は日本でも有数の大型車ディーラーの整備場となりますが、「全国でも試みのない新しい整備空間を持った整備場をつくりたい」という熱意を共有して設計をスタートしました。
設計途中の敷地変更や工事の中断も含め、設計開始から竣工まで4年の長い年月がかかりましたがその間一貫してその熱意を持ったまま竣工を迎えられたことは誇りに思ってます。
大企業のオペレーションを担う建築は、今までのノウハウや成功例を参照したプロトタイプを模倣しがちな傾向にありますが、クライアントと熱意を共有し、共に新しい空間を創っていくことでより魅力ある建物にできると考えます。
本案件のクライアントとは今でも全国各地で仕事をさせていただいておりますが、見学された各地の担当者から「柔らかい光の入るドームの下で整備作業員が活き活きと作業されている姿をていてこのような整備場をつくりたい」と言っていただけることは設計者として非常に喜ばしいことです。